リハビリテーションの定義は様々ありますが、ここでは私が考えるリハビリテーションの役割について述べていきたいと思います。
リハビリテーションは治療ではない。
先日、私のツイートにこんな返信がありました。
「根拠のある治療はないと思います。」
…
…
突っ込みどころ満載の一文なのですが、今回は「治療」というワードに焦点を当てたいと思います。
まずは治療という言葉の定義について考えていきましょう。
広辞苑では
病気やけがをなおすこと。また、そのために施す種々のてだて。
とされています。
さて、リハビリテーションは病気やけがを治すことができるのでしょうか?
答えは「NO」に近いと思います。
病気やけがを治すということは脳卒中や骨折を治す、ということです。
これはリハビリテーションでは不可能ですね。
リハビリテーションでは障害に対してアプローチはしますが、直接病気やけがを治すということは考えにくいです。
つまり、リハビリテーションは治療ではないと私は考えています。
上記の治療の定義では、治療ができるのは医師か超能力者や霊能者くらいでしょうか。
リハビリテーションは誰のために行われるのか
リハビリテーションは誰のもの?と聞かれてまずはじめに思い浮かぶのはクライエント本人のため、ではないでしょうか。
まずは本人の生活の改善のためが一番の目的だと思います。
しかし、それだけではないと思います。
まず、クライエントの家族のためでもあると思います。
本人の日常生活機能を改善することで家族の介護負担が軽減することも考えられます。
更衣動作の介助を考えたときに肩関節の関節可動域が改善することで更衣介助がしやすくなることも考えられます。
最期を迎えるときに関節拘縮のために棺に入れないときにどうやって棺に入れられるかご存じでしょうか?
なんと骨折させて入れられるという話を聞いたことがあります。
そんな目に遭わないように関節可動域を維持することもリハビリテーションの役割だと思っています。
話を戻します。
リハビリテーションの対象はそれだけではありません。
地域そのものも対象になると思っています。
リハビリテーションの考え方を浸透させ、地域全体の健康に寄与することができれば、住みよいまちづくりに参画できればその地域全体の幸福度を上げることもできると思います。
こんな例もありますから、地域に働きかけることも重要だと考えています。
間違ってもセラピストのためではありません。
ですから、セラピストがどんな手段を使うかや何を考えているかはどうでもよくて、リハビリテーションの対象となる人や地域が良くなればよいのです。
リハビリテーションは触媒である
私が考えるリハビリテーションの立ち位置は「触媒」だと思っています。
触媒とは
熱力学的にみて化学反応の進行が可能である物質系に,比較的少量を添加して反応を促進させ,あるいはいくつかの可能な反応のうちで特定のものを選択的に進行させる物質
https://sakura-paris.org/dict/%E5%B2%A9%E6%B3%A2%E7%90%86%E5%8C%96%E5%AD%A6%E8%BE%9E%E5%85%B8/content/2474_484
化学の授業で出てきたと思います。
その物質自体は何も変化せず、化合したりもしません。
ただ、反応を促進するために存在しています。
私たちの役割もそうではないでしょうか?
クライエント本人が良くなろうとする力を少しだけ後押しする、そんな役割ではないでしょうか。
まとめ
- リハビリテーションは治療ではない
- リハビリテーションの対象はクライエントやその周囲の人、地域等であり、セラピストのために実施されるものではない。
- リハビリテーションは触媒として良くなろうとする力を少しだけ後押しすることが役割
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