私はなにができるのだろう?~自己効力感について考える~

スポーツのこと、勉強のこと、家事のこと、仕事のこと…

あなたは自分に自信を持っていますか?
自信っていったい何でしょうか?
自信があればどんな良いことがあるのでしょうか?
逆に自信がなければどんなデメリットがあるのでしょうか?

いわゆる自信というものに近い考え方で、心理学では”自己効力感”といわれる概念があります。

この記事では、”自己効力感”について考え、自信を持つことでどのような効果がもたらされるのかを考えていきたいと思います。

自己効力感とは何か?

まずは自己効力感という概念の整理をしていきましょう。

自己効力感とは、自分自身がある目標を達成する能力や、困難に立ち向かう自信を持つことです。
自己効力感が高い人は、困難な状況においても努力を続けることができ、成功を収める可能性が高くなります。
逆に、自己効力感が低い人は、挫折しやすく、自己価値感の低下やモチベーションの低下につながることがあります。

自己効力感が中核をなす社会的認知理論とは?

自己効力感は、社会的認知理論という理論の中核をなす概念だと言われています。

社会的認知理論は、人々が自分自身や他の人々との関係を理解し、行動を制御するための心理学の理論です。
この理論は、自己効力感や他者への思いやりなど、社会的な要素を重視しています。

自己効力感は、個人が過去の経験や自己評価、他者のモデル行動などから形成されます。
例えば、あるスポーツの試合で成功体験をしたり、難しい問題を解決できた経験がある場合、自己効力感が高まる傾向があります。
また、他者の成功体験を目にすることで、自分にもできるという信念を持つことができます。

高齢者の自己効力感の特徴

私は普段、高齢者と関わる仕事をしています。
そこで少し高齢者の自己効力感の特徴について整理しておきます。

高齢者の自己効力感には以下のような特徴があります。

  • 経験と知識の蓄積: 高齢者は人生の経験を豊富に持っており、様々な困難を乗り越えてきた可能性があります。
    これにより、自己効力感を高める基盤となる経験と知識があります。
  • 身体的な変化や機能の低下: 高齢に伴い、身体的な変化や機能の低下が起こることがあります。
    これにより、自己効力感が低下することがあります。
    しかし、適切なサポートやアクティビティの提供によって、高齢者の自己効力感を向上させることができます。

高齢者は私たちよりも多くの経験を蓄積されており、その中で成功体験やどのようにすれば困難を乗り越えることができるのか、ということを経験して理解しているため、自己効力感が若者と比較してたかくなりやすいです。
一方で、身体的・精神的機能が加齢に伴って低下することによってできないことが増え、自己効力感が低下する可能性もあるといわれています。

私たちリハビリテーション専門職はこの自己効力感というものも考慮して支援を進めていくことも必要だと考えられます。

自己効力感の測定尺度

では、自己効力感が高いのか、低いのかはどのようにすればわかるのでしょうか?

自己効力感を測るためには、さまざまな方法があります。
以下に代表的な尺度を紹介します。

  1. シェリー・ジョセフスカイア・セールフ・イフィカシー・スケール (Sherer et al., 1982): この尺度は、一般的な自己効力感を測るための質問項目で構成されています。
    例えば、「自分の能力に自信を持っている」という文に対して、自分の感じ方を評価する形式です。
  2. 学業自己効力感尺度 (Schunk & Pajares, 2001): この尺度は、学業における自己効力感を測るために開発されました。
    テストの勉強や宿題の達成など、学業における自己効力感を測るための尺度で、自己効力感が高いかどうかを評価する質問項目が含まれています。例えば、「難しい科目でも自分なら理解できると思うか」といった質問があります。
  1. スポーツ自己効力感尺度 (Vealey, 1986):
    この尺度は、スポーツにおける自己効力感を測るために使用されます。
    競技やトレーニングにおける自信や能力についての質問が含まれており、例えば「自分の競技力に自信があるかどうか」といった質問があります。

これらの尺度は、自己効力感の測定に一般的に使用されています。

尺度の選択は、目的や対象によって異なるため、自己効力感を測定する対象や目的を明確にして尺度を使い分ける必要があります。

自己効力感を高めることの効果

自己効力感を高めることには、人生にさまざまな効果があります。

  1. 成果の向上
    自己効力感が高い人は、困難な目標に向かって努力し続ける傾向があります。
    彼らは挑戦を恐れず、問題に取り組む自信を持っています。
    そのため、自己効力感の高い人はより高い成果を上げる可能性があります。
  2. モチベーションの向上
    自己効力感が高い人は、自分の能力に自信を持ちながら目標に向かって努力します。
    成功体験や目標達成の喜びから、彼らのモチベーションは高まります。
    困難に直面したときでも、自己効力感が高い人は挫折せずに立ち向かうことができます。
  3. 心理的・身体的な健康
    自己効力感が高い人は、自己価値感が高く、ストレスやうつ病のリスクが低い傾向があります。
    また、自己効力感が高い人は、健康な生活習慣を維持しやすく、身体的な健康にも良い影響を与えることがあります。
  4. 自己成長と自己実現
    自己効力感が高い人は、自己成長や自己実現に向けて積極的に取り組む傾向があります。
    彼らは自分自身の能力や可能性を信じており、新しいスキルや知識を獲得し、自己の可能性を最大限に引き出すことに努力します。
    自己効力感が高いことで、自分自身を肯定し、自己実現の道を歩むことができます。

自己効力感を高めるための方法

自己効力感を高めることで得られる効果についてまとめました。
ではどのようにすれば自己効力感を高めることができるのでしょうか?

ここでは高齢者を例にして自己効力感を高める方法をご紹介していきます。

  1. 目標の設定と達成
    高齢者には現実的な目標を設定し、達成することが重要です。
    小さな目標から始め、成功体験を積み重ねることで自己効力感を高めることができます。
    例えば、新しい趣味やスキルの習得、社会的な活動への参加などが挙げられます。
  2. 経験の共有とモデル行動
    高齢者同士や異世代の人々との交流や経験の共有は、自己効力感の向上に役立ちます。
    成功した経験や困難を乗り越えたエピソードを共有することで、高齢者は自分自身の能力に自信を持つことができます。
    また、他の高齢者や優れたモデルの行動を観察することも自己効力感を高める手段となります。
  3. サポートとエンパワーメント
    高齢者に対して適切なサポートを提供することが重要です。
    その中には、情報提供やリソースの提供、身体的なサポート、感情的な支援などが含まれます。
    さらに、高齢者自身が自己決定を行い、自分の能力や意志を尊重されることで、自己効力感を高めることができます。
  4. 肯定的なフィードバックと強化
    高齢者の努力や成果を積極的に認め、肯定的なフィードバックを与えることが重要です。
    努力や達成に対して称賛や励ましの言葉をかけることで、高齢者は自己効力感を高めることができます。
    また、報酬や認知的な強化を活用することも効果的です。
  5. 環境の適応と適切な支援
    高齢者が活動や目標に取り組むための環境の適応と支援が必要です。
    バリアフリーな環境や適切なツールや技術の提供、個別のサポートやケアの提供などが含まれます。
    適切な環境と支援があれば、高齢者は自己効力感を持ちながら積極的に活動することができます。

高齢者の自己効力感の向上は、生活の質の向上や健康な老後をサポートする重要な要素です。
適切な支援や環境の提供に加えて、高齢者自身が目標を持ち、達成することで自己効力感を高めることができます。
自己効力感の向上は、高齢者の意欲や自己価値感を高め、活動的で充実した人生を送ることにつながるでしょう。

まとめ

自己効力感は、自分自身が目標を達成する能力や困難に立ち向かう自信を持つことです。
自己効力感を高めることによって、成果の向上やモチベーションの向上、心理的・身体的な健康の改善、そして自己成長や自己実現の促進など、人生にさまざまな効果があります。

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