改めて通所介護と通所リハビリテーションの違いについて考える

久しぶりにブログを更新します。

以前にも通所介護と通所リハについてはまとめました。(こちらの記事です。)
先日このようなツイート(ポスト)をしました。

この投稿は少し言葉足らずでした。ごめんなさい。

ただいまコロナ真っただ中。
しかし体調はなんとか持ち直し、現在は微熱とのどの違和感程度です。

そんなことは置いておいて、意外にいいねやコメントがあったポストになりました。
ポストにある通り、私は訪問看護ステーションからのPT、OT、STの訪問を、訪問リハと呼ぶことに対して違和感を感じちゃうんですが、そんな私は通所リハビリテーションという制度がある中で、通所介護を開業しようとしています。

そこで今回は、改めて通所介護と通所リハビリテーションの違いについて確認し、なぜ私が通所リハビリテーションではなく通所介護で開業するのかをハッキリさせたいと思います。

通所介護と通所リハビリテーションの定義・目的・内容

まずは通所介護と通所リハビリテーションの定義・目的・内容について、厚生労働省の資料を基に整理していきましょう。

通所介護と通所リハビリテーションの定義

まずはそれぞれの定義から確認していきます。

通所介護の定義
第219回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料

通所介護は利用者の日常生活や健康管理全般の支援を行うようなイメージでしょうか。
その中で私たちリハビリテーション専門職が直接関わる部分としては機能訓練指導員として機能訓練に関わることが多いのではないかと思われます。

通所リハビリテーションの定義
第219回社会保障審議会介護給付費分科会(web会議)資料

一方で通所リハビリテーションはリハビリテーションを提供する施設だということが明記されています。
その名の通り、通所リハビリテーションはリハビリテーションの提供に特化した施設であることが読み取れますね。

通所介護と通所リハビリテーションの目的・内容

続いて通所介護と通所リハビリテーションのそれぞれの目的・内容を確認していきます。

こちらは厚生労働省の資料にわかりやすいものがありました。

社保審-介護給付費分科会 第180回(R2.7.20)資料3より

内容として
通所介護は
必要な日常生活の世話及び機能訓練を行うこと
通所リハビリテーションは
理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーション
と記載されています。

目的
通所介護は
利用者の社会的孤立感の解消、心身の機能の維持、利用者家族の身体的及び精神的負担の軽減を図るもの
通所リハビリテーションは
利用者の心身機能の維持回復を図ること
とされています。

なんだか目的と内容が一致しないように感じるのは私だけでしょうか?
リハビリテーションと機能訓練についてはこちらの記事でもまとめていますが、
リハビリテーション=心身機能の維持回復ではない
はずです。

目的だけを見ていると、通所介護のほうがよっぽどリハビリテーションなんじゃないかと思ったりもします。

リハビリテーションについては以前こちらの記事でもまとめていますので、こちらもご参照ください。

通所介護と通所リハビリテーションの人員・施設要件

人員要件については上記の表にも記載がありますが、一番大きな違いは医師の配置ではないでしょうか。
通所リハビリテーションは医師の配置が必須で、その医師からの指示を受けてリハビリテーションを提供することになります。

リハビリテーション専門職の配置については、通所リハビリテーションでは必須となっていますが、通所介護では機能訓練指導員として配置されることになり、機能訓練指導員は看護職員や柔道整復師などでも要件を満たすことができます。

ちなみにデイサービスにリハビリテーション専門職が機能訓練指導員として配置されている割合は、少し古いデータですが約16%となっています。

通所介護に関する調査研究事業 報告書 平成 30(2018)年3月

通所介護にリハビリテーション専門職が配置されていない理由として、人件費が要因として挙げられます。
やはり無資格の介護職の方が国家資格を持つリハビリテーション専門職よりも人件費は抑えることができます。
また、看護職員は機能訓練指導員も兼務することができるため、看護職員を機能訓練指導員として配置している事業所が多くなってるようです。

なんで通所リハビリテーションではなく通所介護を開業するのか

ここまで通所介護と通所リハビリテーションの違いについてまとめてきました。
それではなぜ私が通所リハビリテーションではなく、通所介護で開業するのかをまとめていきたいと思います。

運営母体の問題

こんなことを言っては元も子もないのですが…
そもそも私には通所リハビリテーションを開業できる資格がありません。

先ほど述べたように、通所リハビリテーションは医療機関か介護老人保健施設しか開設できないことになっています。
これは訪問リハビリテーションではなく、訪問看護ステーションからのPT、OT、STによる訪問の数が多くなっているのと同じ構造だと思われます。

通所リハビリテーションは外来リハビリテーションの後釜的役割を担っていきそう

通所リハビリテーションに関する介護報酬改定では、これまでリハビリテーションマネジメント加算という制度が推し進められており、身体機能だけでなく、活動と参加に焦点を当てたリハビリテーションを実施していきましょうという方向性が示されています(その割には通所リハの目的の定義が…)

その一方で、実は通所リハビリテーションが病院や診療所で開設しやすいような改定が同時に進められています。
具体的には
施設基準の緩和(病院のリハビリテーション室内で共用スペースとして開設できる)
人員基準の緩和(病院の療法士が兼務できる)
といったものです。

また、厚生労働省はかなり前から外来リハビリテーションを介護保険に移行していくような流れを作っています(算定期間の制限や介護保険との併用禁止)。
そのため、通所リハビリテーションはこれまで外来リハビリテーションを受けていた要介護認定高齢者が外来リハビリテーションの代わりに利用することが想定されます。

もし通所リハビリテーションが介護保険制度の中で外来リハビリテーションに近いような立ち位置になるとしたら、それはなんだかやりたいこととは違うような気がします。

通所介護では自立支援の方向に大きく舵が切られている

一方通所介護の報酬改定からは
自立支援に大きく舵が切られていることがわかります。

例えば
入浴介助加算Ⅱの創設
個別機能訓練加算の改定

があります。

入浴介助加算では、通所介護施設で入浴することだけを目的とするのではなく、自宅での入浴環境を想定した入浴介助を行うことで入浴介助加算Ⅱが算定できます。
以前から入浴介助加算はありましたが、もうひとつの入浴介助加算Ⅰでは以前よりも点数が低くなり、事業所は減収となってしまう制度となっています。

個別機能訓練加算に関しては、機能訓練指導員の充実(2名以上配置)に対して高い加算がとれるようになりました。
また個別機能訓練計画書には身体機能、生活機能の向上を目的とする機能訓練項目を挙げるようにとされています。

このように、通所介護は今までイメージが強かったお預かりのサービスから、利用者の自立を支援するためのサービスへの転換が求められていると思います。

この中でリハビリテーション専門職である私たちが活躍できる部分は多くあるのではないでしょうか?

改めて通所介護と通所リハビリテーションの違いについて考えた

ここまで通所介護と通所リハビリテーションの違いについて確認してきました。
同じ介護保険制度の中の通所サービスという括りの事業ですが、運営母体や事業の目的・方法これからの方向性まで多くの違いがあることが分かります。
ただ、この違いを理解している人は業界の人でも多くないかもしれません。

私もひと言で説明して!といわれると少し困ってしまいそうですが、しっかりと違いを理解しておきたいと思います。

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