通所介護と通所リハビリテーションの違い

正直に言います。

この記事、「だいたいわかってるし、制度面をちょっと調べたらすぐまとめられるな」と思っていました。

しかしふたを開けてみると…思っていたものと違う!

違いがあるのか?ないのか?

と想像以上に時間がかかり、考えることが多くありました。

ぜひ、目を通していただき、ご意見をうかがえたらと思います。

私は現在、通所リハビリテーションで勤務しています。

地域には同じ通所サービスとして通所介護(デイサービス)があり、特にリハビリ特化型デイサービスでリハビリテーション専門職が配置されているところもあり、なかなか違いがわかりにくい状況になっています。

この記事では通所リハビリテーションと通所介護の違いをみていきたいと思います。

制度上の違い、実際の現場での違い、私が持っていた印象と実際に調べてみた実状との違いについても述べていきたいと思います。

通所介護と通所リハビリテーションの制度上の違い

通所介護は厚生労働省で以下のように定義されています。

「通所介護」とは、利用者(要介護者等)を老人デイサービスセンター等に通わせ、当該施設において、入浴・排せつ・食事等の介護、生活等に関する相談及び助言・健康状態の確認その他日常生活上の世話、機能訓練を行うものをいう

社保審-介護給付費分科会第178回(R2.6.25)参考資料2

一方、通所リハビリテーションは以下のように定義されています。

居宅要介護者について、介護老人保健施設、病院、診療所その他厚生労働省令で定める施設に通わせ、当該施設において、その心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行われる理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーションをいう。

社保審-介護給付費分科会第178回(R2.6.25)参考資料2

このように両者には明確に違いがあります。

通所介護は主に利用者の日常生活を支え、生活の一部としての役割を果たします。

一方通所リハビリテーションは日常生活の自立を助けるためにリハビリテーションを行う施設、とされています。

通所リハビリテーションはあくまでリハビリテーションを実施する施設であり、通過施設であるとして、終了を前提とするサービスであるとされています。

一方、通所介護には制度上は終了という概念はあまりなく、継続的に利用できるサービスになっています。

また、サービスを提供する施設が通所リハビリテーションは病院、診療所、介護老人保健施設となっており、医療体制が整った施設でないと開設できないことになっています。

通所介護と通所リハビリテーションの人員配置の違い

人員配置について”社保審-介護給付費分科会第178回(R2.6.25)参考資料2”の中で明確な違いが示されています。

まず、医師の配置の有無があります。

通所介護では医師の配置に関しては規定されていませんが、通所リハビリテーションでは専任の常勤医師が1名以上必要となります。

他の専門職に関しても違いがあります。

通所介護では

  • 生活相談員1名以上
  • 看護職員1名以上
  • 介護職員は15名に対し1名、それ以上は利用者の数が1増すごとに0.2を加えた数以上
  • 機能訓練指導員1名以上

とされています。

一方、通所リハビリテーションは

  • 理学療法士、作業療法士若しくは言語聴覚士又は看護師、准看護師若しくは介護職員が10名に対し1名以上
  • 理学療法士or作業療法士or言語聴覚士が利用者100名に対し1名以上

とされています。

医師を配置しなければならないという項目以外では、案外通所リハビリテーションのほうが人員配置の制約は少ないです。

極端な例では診療所で定員10名以下ならば理学療法士1名いれば通所リハビリテーションを開設できるということになります。

あくまで通所リハビリテーションはリハビリテーション施設であり、生活上の世話などを提供する施設ではないということでしょうか。

リハビリテーション専門職が配置されている通所介護と通所リハビリテーションの違い

先述したように、通所介護ではリハビリテーション専門職の配置については規定がなく、リハビリテーション専門職が配置されるのは、機能訓練指導員として配置されることになります。

リハビリテーション専門職は医師の指示がなければ障害のある対象者に対しては理学療法、作業療法、言語聴覚療法が実施できないため、名称上は機能訓練として実施することになります。

通所介護では令和3年度の介護報酬改定で機能訓練加算が見直され、個別機能訓練加算Ⅰ(ロ)を算定する場合、機能訓練指導員が2名以上配置されないと算定できないことになりました(令和3年度介護報酬改定における改定事項についてより)。

定員数によっては通所リハビリテーションよりも通所介護のほうがセラピストが多い、という状況にもなり得るということですね。

通所介護と通所リハビリテーションでの一番大きな違いといえば、医師の配置の有無だと考えています。

まさか通所介護で医師を雇うことはできないと思います。

では、医師の関与によってどれほど違いが出るのでしょうか?

ここはこの記事も参考にしていただければと思います。

医師の関与によって医療面でのリスク管理やバックアップ体制が整えられるほか、医師からの病状や予後の説明によってスムーズに支援体制が整えられるというメリットもあります。

通所介護では医師がおらず、たとえリハビリテーション専門職が配置されていたとしても、医療面でのサポートは通所リハビリテーションと比較すると不十分となるのかもしれません。

ただ、先ほど記載したように場合によってはリハビリテーション専門職が通所介護のほうが手厚く配置される可能性があり、一概に通所リハビリテーションのほうが手厚いリハビリテーションが実施されている、といえるわけでもないようです。

通所リハビリテーションではセラピストが個別に介入するイメージが強いようですが、実際には通所リハビリテーションでのリハビリテーション実施時間が決まっていることもなく(一部、短期集中リハビリテーション加算は1回40分と決まっている)、自主トレメインで利用されている方も多くおられます。

この部分からも必ずしもリハビリテーションが手厚く(個別でhands onアプローチという意味で)提供されているといえるわけでもないといえます。

リハ特化型通所介護と通所リハビリテーションの違いはどこにあるのか

リハ特化型デイサービスなるものがたくさんあります。

中にはマシンを使用したパワーリハなどを実施し、リハビリテーション専門職がいない場合でも名乗っていることもありますが、リハビリテーション専門職が配置されているデイサービスも多くあります。

上述したような医師の関与の有無による違いはありますが、リハビリテーション専門職が配置されていない通所介護よりも通所リハビリテーションとの違いはそう大きくないようにも感じます。

しかし、1つデイサービスでは行われないことがあります。

それがリハビリテーションマネジメントです。

リハビリテーションマネジメントについてはこの記事を参照していただければと思います。

リハビリテーションマネジメントは、リハビリテーション計画書の作成、リハビリテーション会議の開催、居宅への訪問、訪問サービスへの助言等、多くの業務があり、加算がないとなかなか実施できないのが現実だと思います。

このリハビリテーションマネジメントを堂々と(?)実施できるのは通所リハビリテーションの強みなのかもしれません。

結局、通所介護と通所リハビリテーションに違いはあるのか

いろいろな角度から通所介護と通所リハビリテーションの違いについて考えてきましたが、結局、両者に明確な違いはあるのでしょうか?

私なりの答えとしては

制度上は大きな違いがある、しかし実状は事業所による差によるところが大きい

です。

元も子もないような答えですが、実際、Twitterで質問したところ事業所による差が大きいという意見も多かったのです。

また、地域特性によっても役割が大きく変わることがわかりました。

地域にある通所サービスの事業所数、その地域のニーズ、サービスを提供している事業所の特徴など、様々な要因が影響して各通所サービスは提供するサービスを選択しています。

特に通所介護は自由度が高く、機能訓練指導員を充分に配置し、手厚い機能訓練を提供している施設もあります。

理学療法、作業療法、言語聴覚療法は名称独占であるため、リハビリテーション専門職を充分に配置して実状として充分なリハビリテーションを提供している事業所もあると思います。

逆に、通所リハビリテーションであっても終了後に利用できるサービスの選択肢がなく、終了を促せない施設や、リハビリテーションマネジメント加算を積極的に算定せず、通所介護と同様に日常生活の世話を主として行っている施設もあると思います。

まとめ

結局、通所介護と通所リハビリテーションという区別は制度上は明らかに違いはあるものの、実状としては事業所ごとの違いのほうが大きい、という結論になるかと思います。

改めて考えてみると、制度上も明確に区別されたのは平成27年の介護報酬改定からではないでしょうか?

まだまだ制度の日も浅く、これから両者の差が広がっていくのかもしれません。

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