地域共生社会について

地域共生社会とは2016年に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」の中に組み込まれた、厚生労働省が掲げるプランです。

今後、日本社会が目指していく地域社会の形を表しているものだといえます。

この記事ではそんな地域共生社会がどんなものなのか、これまでの経過を振り返りながら考えていきたいと思います。

地域共生社会とは

厚生労働省では地域共生社会を次のように説明しています。

制度・分野ごとの『縦割り』や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が 『我が事』として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて『丸ごと』つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会

厚生労働省,https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000184346.html

これまでは小児は小児分野の制度を利用して小児の施設で、高齢者は介護保険制度を利用して高齢者施設で、といったようにそれぞれの分野が縦割りで支援してきていました。

それを縦割りを廃止し、地域全体として捉えていこうということです。

また、「支え手」「受け手」と記載してあるように、支援を受ける側、支援してもらう側というのが明確に区別されています。しかし、場面によっては立場が反対になることがあります。

以前、こんなツイートをしたことがあります。

支援する側と支援してもらう側は場面によって変わることがあると思います。

障がい者や高齢者だからといって支援されているばかりではなく、人の役に立つこと、支援する立場になることは必ずあるはずです。

そんな社会を目指そうということも盛り込まれています。

地域共生社会までのこれまでの流れ

地域共生社会実現に向けての流れは障害分野、小児分野、高齢者分野においてそれぞれ独自の流れがありました。

障害分野では身体障碍、知的障害、精神障害とそれぞれ別の法律によって制度が成り立っていましたが、昭和56年には国際障害者年「完全参加と平等」をきっかけにそれぞれの法律がまとめられ、平成15年には支援費制度になり、利用者が受けたいサービスを選択できるようになりました。

その後も障害者の権利に関する法整備がなされ、平成26年に障害者の権利に関する条約に批准し、共生社会の実現に向けて進んでいます。

高齢者分野では、地域包括ケアシステムという体制を2025年を目標に構築するべく、診療報酬、介護報酬の改定が進められてきました。

平成25年8月の社会保障制度国民会議報告書では、

過度な病院頼みから抜け出し、QOLの維持・向上を目標として、住み慣れた地域で人生の最後まで、自分らしい暮らしを続けることができる仕組みとするためには、病院・病床や施設の持っている機能を、地域の生活の中で確保することが必要となる。すなわち、医療サービスや介護サービスだけなく、住まいや移動、食事、見守りなど生活全般にわたる支援を併せて考える必要があり、このためには、コンパクトシティ化を図るなど住まいや移動等のハード面の整備や、サービスの有機的な連携といったソフト面の整備を含めた、人口減少社会における新しいまちづくりの問題として、医療・介護のサービス提供体制を考えていくことが不可欠である


www.mhlw.go.jp/file/05…/0000052615_1.pdf

と指摘されており、医療・介護の問題を関連施設だけでなく、地域全体の問題として捉え、体制を構築していくことが必要だと言われています。

この流れに則り、報酬改定では

  • 入院日数の短縮
  • 在宅生活の支援体制の構築
  • サービス利用の適正化

などが主に進められてきていると思います。

このように地域共生社会実現に向けてずいぶん前から法整備が進められてきています。

地域共生社会の中での働き方

地域共生社会が実現すれば、地域共生社会を実現するためには、私たちが働き方を変えていかなければいけないと思います。

これまでは病院や施設の中でリハビリテーション室に患者や利用者を連れてきてリハビリテーションを行う、という働き方が多かったと思います。

先の診療報酬改定でも病棟にセラピストが配置されるような加算が新設されたり、基本報酬に包括されるような動きが出ています。

介護報酬改定では目標や期限を設定し、スポットでサービスを提供し、結果を出すことが求められています。

これまでのようにリハビリをやっていたら報酬がもらえるような体制ではなく、しっかり結果を出し、どれだけ貢献しているかを科学的に証明していかないといけません。

また、診療報酬、介護報酬ではリハビリテーションの対象がどんどん絞られています。

今後、その対象外とされた方のリハビリテーションのニーズも高まることが予想されます。

自費リハビリがそのニーズを満たす重要な役割を果たすと思いますが、現状では法整備ができておらず、不安定な状態です。

しっかりと法律を解釈したり、地域の課題やニーズを抽出して求められているサービスを提供できるようにマネジメント能力を養うことも必要になってきます。

地域共生社会ではこれまでのように区別された限定された環境だけでなく、地域の様々な場所で活躍することが求められてくると思うので、私たちはこれまでのような医学的な知識や技術だけでなく、幅広い知識を習得していかないといけないと考えます。

まとめ

  • 地域共生社会は厚生労働省が掲げる今後、日本社会が目指していく地域社会の形である
  • 政府は長い期間をかけて地域共生社会の実現にむけて法整備を行ってきた
  • 私たちリハビリテーションの専門職は様々な場所での活躍を求められており、幅広い知識が必要である

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