生活リハビリテーションとは

リハビリテーションといえば、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などのリハビリテーション専門職が1対1で行うことがイメージされますが、介護の世界では「生活リハビリテーション」というものが提唱されています。

言葉だけが先行し、内容がよくわからないので、この記事では生活リハビリテーションについて整理していこうと思います。

リハビリテーションとは

まず、リハビリテーションとはなにか、を整理していきたいと思います。

リハビリテーションは一般的には病院のリハビリ室で、ベッドに寝てリハビリをしてもらう、平行棒で歩かせてもらう、といったようなイメージが強いと思います。

しかし、リハビリテーションとは以下のように定義されています。

身体的、精神的、且つ又社会的に最も適した機能水準の達成を可能とすることによって、各個人が自らの人生を変革していくための手段を提供していく事を目指し、かつ、時間を限定したプロセスである。

国際連合・障害者に関する世界行動計画,1982

単なる機能回復訓練だけではなく、心身に障害を持つ人々の全人的復権を理念として、潜在する能力を最大限に発揮させ、日常生活の活動を高め、家庭や社会への参加を可能にし、その自立を促すものである。

厚生労働省老健局内 高齢者リハビリテーション研究会「高齢者リハビリテーションのあるべき方向」,2003

リハビリテーションは自らの人生を変革していくための手段で、機能回復訓練だけではない、とされています。

つまり、リハビリ室で受けることだけがリハビリテーションではない、ということです。

ではリハビリテーションはどのような場面でされるのでしょうか。

生活リハビリテーションとは

リハビリテーションはどのような場面でも行われます。

例えば、利用者がトイレに行くときや入浴のために浴室に移動するとき、歩ける方でも車いすで誘導していることはありませんか?

尿便意があり、トイレで排泄できるのにベッド上でオムツ交換をしていることはありませんか?

このような支援をしていると、利用者の活動量はどんどん低下していきます。

歩ける方には歩いてトイレや浴室まで移動していただき、できるだけベッドから離れ、活動している時間を延ばしてもらうことが大切です。

生活リハビリではリハビリに関する高度な専門知識はあまり必要ありません。

生活リハビリでは、利用者ができることは自分でしてもらい、どんどん自分で動いていただくことが重要です。

生活リハビリテーションを実施するうえでの注意点

しかし、生活リハビリを実施する上で注意することがいくつかあります。

それはリスク管理です。

利用者はなんらかの疾患を抱えておられます。

疾患によっては運動量の制限があったり、してはいけない動作がある場合があります。

そのような情報を知らずにどんどん活動量を増やしてしまうと、逆に利用者に悪影響を及ぼす可能性があり、注意が必要です。

例えば変形性股関節症で人工股関節置換術を施行されている方がいたとします。

人工股関節には禁忌肢位があります。

禁忌肢位とは「ある関節の角度に曲げたり、関節の位置をとると人工関節が脱臼してしまう」肢位のことです。

禁忌肢位は術式によって異なるので、手術をした医師からの情報が必要です。

これを知らずに、例えば靴下を自分で履いてもらおうと股関節を深く曲げてしまうと脱臼してしまい、最悪の場合は再手術になる可能性もあり、注意が必要です。

他に肺気腫で呼吸機能が低下している方は、呼吸状態に注意が必要です。

呼吸機能が低下している場合、活動することによって血中酸素飽和度が低下することがあります。

血中酸素飽和度はSpO2で表され、90%を下回ると身体に悪影響があるため、90%以上を維持することが必要です。

日常生活で常にSpO2を計測しながら活動するわけにはいかないので、リハビリ場面などで測定し、どの程度の活動なら大丈夫なのか見極めておく必要があります。

他にもリスク管理のために注意すべきことがある場合があります。

医師や看護師、リハビリテーション専門職などにリスクについて確認しながら活動量を増やしていくことが大切です。

生活リハビリテーションを実施するポイント

生活リハビリを実施する上で重要なポイントは

無理のない範囲で

実用的な方法で

安全な方法で

行なうことが重要です。

毎日の生活の中で取り組む活動になるので、それをしてへとへとになって続かないような活動ではあまり意味がありません。

実際の生活の中で実用的に行えることも重要です。

例えばトイレまでの歩行でなんとか歩けて1時間かかってしまう、という状態では尿意を催してからトイレに向かっていては間に合わなくなってしまいます。

そのような場合には一部分だけ歩くなど工夫が必要です。

また、安全性には十分考慮する必要があります。

前項のリスク管理や転倒などの事故が起こらないように適切な支援を行うことが重要です。

まとめ

  1. リハビリテーションは自らの人生を変革していくための手段で、機能回復訓練だけではないとされており、リハビリ室で受けることだけがリハビリテーションではない。
  2. 生活リハビリでは、利用者ができることは自分でしてもらい、どんどん自分で動いていただくことが重要
  3. 利用者はなんらかの疾患を抱えており、医師や看護師、リハビリテーション専門職などにリスクについて確認しながら活動量を増やしていくことが大切
  4. 生活リハビリを実施する上で重要なポイントは無理のない範囲で実用的な方法で安全な方法で行うことである

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