理学療法士の方は歩行能力の測定をする検査項目はたくさんご存じだと思います。
その中でも、リハビリテーション計画書ではTimed up and go testと6分間歩行テストのどちらかを実施し記載するように提示されています。
リハビリテーションマネジメントに関してはこちらの記事もご参照ください!
今回は改めてTimed up and go testと6分間歩行テストについて調べてみたので簡単にまとめたいと思います。
TUGと6分間歩行テストの概要
TUG
まず、TUGの概要についてみていきましょう。
日本理学療法士協会が出しているE-SASの評価バッテリーの中で、TUGの測定方法について以下のように説明されています。
TUGのオリジナルは1986年にMathiasらが発表したBalance in elderly patients: the “get-up and go” testで、Podsiadloらが時間の要素を加えて定量的な評価に修正したもので、検者内信頼性、検者間信頼性が高いテストです。
TUGは下肢筋力、バランス、歩行能力、日常生活機能との関連も高く、多くの場面で用いられるテストです。
3mの歩行路と椅子とストップウォッチがあれば計測できる簡便なテストだといえます。
しかし、文献によって「快適な歩行速度」や「最大努力の歩行速度」など指示が異なっていることがあります。
どう指示するかによってクライアントの歩行速度が大きく変わるため注意が必要です。
6分間歩行テスト
6分間歩行テストはButlandらが1982年に報告したものがオリジナルで、他に2分間歩行テストや12分間歩行なども存在します。
米国胸部医学会(American Thoracic Society; ATS)がステートメントとして6MWTのガイドラインを発表し、その中で今まで曖昧であった6MWT方法を統一することが提案され、以下のように説明されています。
6MWTが開発された背景からわかるように6MWTはもともと呼吸器疾患の患者に対する評価方法として考案されたもので、運動機能の評価として開発されたものではないということに注意が必要です。
TUGと6分間歩行テストの結果の解釈
TUGの結果の解釈
TUGは様々なカットオフ値が設定されています。
代表的なものを整理していきます。
TUGには様々な基準値が存在し、テストを実施する目的によって基準となる数値が異なります。
また、Timed up and go testには5mの歩行路で実施するものもあり、基準値を参照するにあたっては注意が必要です。
6分間歩行テストの結果の解釈
次に6MWTの結果の解釈についてみていきましょう。
まず、文部科学省が出している年齢別の基準値はこちらです。
次に研究によって明らかにされている基準値についてまとめました。
上記にまとめた基準値は基本的に呼吸器疾患の患者を対象にした研究の結果、産出されたものになっており、佐竹らが述べているように、なにかの基準値に照らし合わせるのではなく、一人のクライアントの測定結果を記録し、定期的に測定してその変化をみることが臨床的に意義のある結果の解釈だと考えられます。
まとめ
通所リハ、訪問リハでリハビリテーション計画書にどちらかを測定し、記載するように定められているTUG、6MWTについて調べてみました。
記載するように定められているからといって機械的に測定し、記載するだけではなく、その結果をしっかりと解釈してクライアントの生活がより良くなるように活用していきたいところです!
参考・引用文献
- 日本理学療法士協会,E-SAS TUG 測定方法
- American Thoracic Society,Guidelines for six-minute walk test,Am J Respir Crit Care Med 166,111-117,2003
- Shumway-Cook et al,Predicting the probability for falls in community-dwelling older adults using the timed up & go test,Phys Ther 80,896-903, 2000
- Podsiadlo D, Richardson S,The timed “up & go”: a test of basic functional mobility for frail elderly persons,J Am Geriatr Soci,39(2),142-148,1991
- 島田裕之・他,高齢者を対象とした地域保健活動におけるTimed Up & Go Testの有用性,理学療法学33:105-111,2006
- PTジャーナル 2019,10
- 佐竹 將宏 他,6分間歩行試験について,日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 第28巻 第2号:286- 290,2019
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