地域リハビリテーションについて

地域リハビリテーションとは

地域リハビリテーションは

地域リハビリテーションとは、障害のある子供や成人・高齢者とその家族が、住み慣れたところで、一生安全に、その人らしくいきいきとした生活ができるよう、保険・医療・福祉・介護及び地域住民を含め生活にかかわるあらゆる人々や機関・組織がリハビリテーションの立場から協力し合って行なう活動のすべてを言う」

日本リハビリテーション病院・施設協会,1991

と定義されています。

砕けた言葉に言い換えると

すべての人が住み慣れたところで幸せに暮らせるようにみんなで協力していきましょう

とも言い換えられると思います。

誰もが住み慣れた地域でいつまでも元気に生活し、最期を迎えらえれるほうが良いと思いますよね。

そんなニーズに応えるためにリハビリテーションの立場から支援することを地域リハビリテーションといいます。

リハビリテーションの定義

では、そもそもリハビリテーションとは何でしょうか。

一般的なイメージでは

  • 病気やけがをしたときに病院でマッサージを受ける
  • スポーツでけがをしたときに競技復帰するためにトレーニングをする
  • 体が弱った高齢者がしっかり歩けるように運動する

こんなイメージでしょうか。

それもリハビリテーションの一部としては間違いではありませんが、実際はリハビリテーションはもっと広い範囲で捉えられています。

リハビリテーションとは

「身体的、精神的、且つ又社会的に最も適した機能水準の達成を可能とすることによって、各個人が自らの人生を変革していくための手段を提供していくことを目指し、かつ、時間を限定したプロセスである」

国際障害者世界行動計画,1982

と定義されています。

つまり、リハビリテーションとは、体のけがや病気に対してアプローチするだけでなく、クライエントが人生を豊かに過ごしていただけるようにあらゆる手段を講じていくことをいいます。

リハビリテーションの定義をみると、地域リハビリテーションと改めて言うまでもなく、そもそもリハビリテーションとはそういうものだ、とも言えます。

しかし、一般的な認識や長く行われてきた病院での狭義のリハビリテーションと区別するために”地域リハビリテーション”という言葉が使われてきたのではないかな、と個人的に考えています。

また、よく聞くセリフで

生活すべてがリハビリですよ

というセリフがあります。

みなさんもどこかで聞いたことがあるのではないでしょうか?

私はあまり好きなセリフではありません。

生活すべてがリハビリ…と言われると、

四六時中どんなことが体に良いか考え、四六時中体の動きを意識して行動し、四六時中運動しないと…と考えながら生活する。

そんな生活は息苦しいですよね。

リハビリテーションは必要な時に必要な分だけ実施され、できるだけ必要とならないように日常生活を健康的に過ごす習慣をつけることが重要だと考えます。

地域包括ケアシステムの中の地域リハビリテーション

地域包括ケアシステムとは厚生労働省が以下のように定義しています。

団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるシステム

厚生労働省

あと4年ですね。

介護保険制度や医療保険制度の改定はこの地域包括ケアシステムを完成すべく、進められてきました。

厚生労働省

この図は地域包括ケアシステムの姿を示しています。

さて、リハビリテーションはどの場面で出てくるのでしょうか。

そうです、実はすべての場面でリハビリテーションは役割を持っています。

医療機関(病院等)でのリハビリテーション、介護保険施設でのリハビリテーションに加え、最近では予防、健康増進分野でのリハビリテーションの重要性が認識されています。

これまでのリハビリテーション、これからのリハビリテーション

リハビリテーション専門職は、これまでは病院の中でのリハビリテーションを中心に医療保険、介護保険分野での活動が主戦場でした。

しかし、今後は地域包括ケアシステムの中で幅広い活躍が求められています。
またその先の地域共生社会でも活躍が期待されています。

地域共生社会についてはこちらで詳しく解説していますので、よろしければご覧ください。

保険制度にとらわれず、保険制度を利用する前に病気や要介護状態になるのを予防することが重要です。

社会保障額は年々上がっており、

国民が保険を使わなくて済む社会を作ることこそがわれわれリハビリテーション専門職が求められていることではないでしょうか。

リハビリテーション専門職が関わることで医療費や介護保険費を減らすことができますよ、とアピールすることができれば、我々リハビリテーション専門職の存在価値は上がっていくと思います。

医療保険制度でも介護保険制度でもリハビリテーションの重要性は年々高まってきています。改定資料を見ていても、リハビリテーション関連の加算や包括化は非常に多くなっています。

今後はリハビリテーションの成果をしっかりと科学的に示し、

リハビリテーション専門職は必要だ

と認識してもらえるように、実績を積み重ね、研究を進めていく必要があります。

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