みなさんこんにちは!
理学療法士のあきです。
私はこれまで総合病院、介護老人保健施設、訪問看護ステーションで理学療法士として働いてきました。
このブログではリハビリテーションのこと、制度のことを中心に発信しています。
リハビリテーションを行う上で、制度やリハビリテーションの大きな流れについて理解しておくことは重要です。
それぞれの記事は3~5分程度で読めるボリュームとなっていますので、ぜひいくつかの記事を読んで制度やリハビリテーションの流れに触れてください!
理学療法士と作業療法士の違いってなんですか?
と聞かれて明確に自信を持って答えられる方はどれくらいおられるでしょうか?
特にいわゆる生活期において、その違いを実例をもって説明できる方は少ないのではないでしょうか?
生活期においてはリハビリテーション専門職の絶対数が少なく、理学療法士であっても作業療法士であってもリハビリテーション専門職として幅広い知識や技術、知見が求められます。
ではその比重はどちらかに偏っているのでしょうか?偏っている場合、生活期では理学療法士、作業療法士どちらのほうが必要性が高いのでしょうか?
今回の記事では、生活期における理学療法士と作業療法士の違いやどちらのほうがニーズがあるのかについて考えていきたいと思います。
生活期における理学療法士と作業療法士とは
まず、一般的な理学療法士と作業療法士の違いについて確認していきましょう。
法律では理学療法士及び作業療法士法によって、理学療法、作業療法の定義がされていますが、50年以上前の定義であり、理学療法、作業療法の定義は他にも出てきています。
理学療法とは
まず理学療法とは法律では以下のように定義されています。
ただ、現在では理学療法士の職域は拡大しており、上記の定義ではそぐわない場面も多くあると思います。
元理学療法士協会会長の奈良勲氏は書籍の中で以下のように定義しています。
一方、世界に目を向けるとphysical therapyとは以下のように定義されています。
次に米国理学療法士協会では以下のように定義されています。
作業療法とは
一方、作業療法については法律では以下のように定義されています。
作業療法士においても職域は拡大しており、日本作業療法士協会では年に以下のように定義しています。
一方、世界に目を向けるとoccupational therapyとは以下のように定義されています。
2つの職種の定義から共通点を導き出してみると
生活
というワードがキーワードになると思います。
視点は違えど、どちらの職種も最終的にみているものは人々の生活である、といえます。
図にしたらこんな感じでしょうか?
それぞれの職種が違う視点から人々の生活を良くするために支援しています。
この点からすると、理学療法士と作業療法士の仕事には違う部分はもちろんありますが、共通する部分も多くあるのではないかと想像できますね。
生活期における理学療法士と作業療法士の仕事はなにか?
さて、定義の確認はできましたが、果たして生活期において理学療法士と作業療法士の仕事に違いはあるのでしょうか?
生活期の主な仕事現場になっている介護保険分野の各施設の人員基準をみていきましょう。
老健
理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士 常勤換算方法で、入所者の数を百で除して得た数以上
通所リハ
専らリハビリテーションの提供に当たる理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、利用者が百又はその端数を増すごとに一以上確保されていること。
訪問リハ
指定訪問リハビリテーションの事業を行う者(以下「指定訪問リハビリテーション事業者」という。)は、当該事業を行う事業所(以下「指定訪問リハビリテーション事業所」という。)ごとに、指定訪問リハビリテーションの提供に当たる理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士(以下この章において「理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士」という。)を置かなければならない。
機能訓練指導員
理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
看護師(准看護師含む)
柔道整復師
あん摩マッサージ指圧師 6ヵ月以上の実務経験を持つ鍼灸師(はり師・きゅう師)
どの人員基準をみても「理学療法士、作業療法士もしくは言語聴覚士」となっており、それぞれの職種によってとれる加算などに違いはみられません。
唯一、介護老人保健施設においては、3職種(理学療法士、作業療法士、言語聴覚士)が揃っていれば、在宅復帰機能指数の点数が上がるという部分で職種の違いを評価されています。
つまり、経営側からしてみれば、数字だけをみれば理学療法士でも作業療法士でも言語聴覚士でも同じ仕事をしている、という認識になるのかと思います。
つまり
理学療法士は作業療法士、言語聴覚士の知識を
作業療法士は理学療法士、言語聴覚士の知識を
求められる場面にも遭遇することが多くあると思います。
そのような場面では「私は理学療法士だから」といって作業活動を提供しないわけにはいきませんし、「作業療法士だから」といって歩行練習や関節可動域運動をしないわけにはいきません。
つまり、生活期では理学療法士であっても作業療法士であっても、リハビリテーション専門職として幅広い知識と技術、知見が求められる環境にあります。
生活期では理学療法士と作業療法士は専門性にこだわる必要があるのか?
では、このような状況で生活期において理学療法士と作業療法士の専門性にこだわる必要はあるのでしょうか?
私はあると思います。
みなさんはいかがでしょうか?
よろしければコメント欄にご意見をお寄せいただけると嬉しいです。
上記で説明したように、理学療法士と作業療法士には違いがあり、学修過程も大きく異なります。
私は、学修過程で学ぶのは知識だけではなく、思想を学ぶという部分も大きいと考えています。
たとえ同じ知識を得たとしても、思想が異なる職種ではその知識の活かし方が違います。
このように同じ事柄を同時にみていても、その視点は大きく異なり、この視点の違いこそが生活期において重要な要素であると思います。
理学療法士は理学療法士の視点で生活をみて、理学療法士の思想をもとに生活を支援する
作業療法士は作業療法士の視点で生活をみて、作業療法士の思想をもとに生活を支援する
同じひとつの生活を支援するときにそれぞれの視点、思想だけでは死角ができてしまいます。
その死角を補う方法こそが多職種連携ではないでしょうか?
それはリハビリ場面だけではありませんし、理学療法士、作業療法士だけの問題でもありません。
医師、看護師、介護福祉士、介護支援専門員、福祉用具専門相談員、栄養士…
それぞれの職種がそれぞれの専門性を発揮し、死角を可能な限り減らして生活を支援していくことこそが生活期で支援者に求められていることではないでしょうか?
多職種連携についてはこちらの記事でもまとめていますので、よろしければこちらもご覧ください!
生活期では理学療法士と作業療法士どちらのほうがニーズがあるのか?まとめ
生活期においてはなかなか理学療法士、作業療法士が揃って支援にあたることは少ないと思います。
理学療法士、作業療法士がお互いの専門分野の知識をつける必要がありますし、お互いの視点を持って利用者の支援にあたる必要もあります。
しかし、先ほども述べたようにそれぞれの資格によって思想が異なるので、可能な限りわずかな機会にでも他職種の目を入れることは重要なことであると思います。
専門性にこだわって対立するのではなく、お互いの専門性をしっかりと理解し、お互いに補い合い、支えあって利用者の支援を進めていけると良いと思います!
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