通所リハビリテーションでは、リハビリテーションマネジメント加算という加算があります。
私が勤務している施設では平成27年からリハビリテーションマネジメント加算Ⅱの算定を開始し、現在はリハビリテーションマネジメント加算Ⅳを算定しており、visitも使用しています。
この記事ではリハビリテーションマネジメント加算の概要や運用の実際について紹介していきたいと思います。
リハビリテーションマネジメント加算とは
通所リハビリテーション(デイケア)、訪問リハビリテーションでは
リハビリテーションマネジメント加算
という加算があります。
リハビリテーションマネジメントは、調査(Survey)、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)(以下「SPDCA」という。)のサイクルの構築を通じて、心身機能、活動及び参加について、バランス良くアプローチするリハビリテーションが提供できているかを継続的に管理することによって、質の高いリハビリテーションの提供を目指すものである
http://www.roken.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/10/vol.747.pdf
SPDCAサイクルを回し、リハビリテーションを推進していくことが求められています。
マネジメント
という言葉が入っている通り、ケアマネジャーが作成したケアプランの中で、リハビリテーションに関わるマネジメントを通所リハビリテーション、訪問リハビリテーションで行っていくことになります。
リハビリテーションマネジメント加算におけるリハビリテーション会議
リハビリテーションマネジメント加算Ⅱ~Ⅳの算定要件として
リハビリテーション会議の開催を通じた多職種の協働による継続的なリハビリテーションの質の管理に加え、退院(所)後間もない者や新たに要介護認定等を受けた者の生活の不安に対して、健康状態、生活の見通し及びリハビリテーション計画の内容等を当該計画の作成に関与した理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士が、利用者又は家族に説明することを評価したものである。
http://www.roken.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/10/vol.747.pdf
と定められている
リハビリテーション会議
を開催する必要があります。
要するに、定期的に関係者(本人、家族、ケアマネジャー、その他サービス提供者)を集めて、リハビリテーション計画に関する見直しを行っていきましょう、ということです。
この会議は、我々リハビリテーション専門職が主催するので、会議では司会進行をしながら計画書を説明したり、家族や他サービスからの意見や要望を取り入れたりする必要があります。
おそらく、多くのリハビリテーション専門職はこのような役割を担ってこなかったと思うので、初めは大変だと思いますが、慣れていくうちに会議は楽しくなってきます。
なかなかこのような場で家族の意見を聞いたり、他サービスと歩調を合わせられることなんてありませんしね。
会議を開くために、各所に連絡し、日程調整を行い、会議を開催します。
出席者は本人、家族、ケアマネジャー、福祉用具、訪問看護、訪問介護、通所介護等、サービスに関わる関係者全員に声をかけないといけません。
これだけのメンバーの日程が合うことはそうそうないので、実際は主要メンバーや関わり方によって優先順位をつけ、日程を調整し、出席できない関係者には照会文を依頼することになります。
リハビリテーション会議の実際についてはこの記事を参照してください。
そして、この会議に出席するメンバーによって加算が大きく変わる重要人物がいます。
リハビリテーションマネジメント加算Ⅲ・Ⅳ
重要人物とは、ずばり
医師
です。
医師がリハビリテーション計画書を医師が直接説明することで
リハビリテーションマネジメント加算Ⅲ・Ⅳ(改定後はリハビリテーションマネジメント加算B)
が算定できます。
医師が説明するかどうかだけで270単位も変わってきますので、かなり大きなポイントになってきます。
しかし、この医師による説明というのがなかなか厄介です。
現場で働いておられる方は想像に難くないと思いますが、
- 施設長であることが多く、多忙
- 高齢であることが多く、リハビリテーションへの理解が低い
- 無関心
こんなことが多いです。
施設長であることが多いと思うので、加算を取ることによってどれだけ収益が変わるのか、明確に示すことができると良いと思います。
また、医師は
リハビリテーションの目的
と
リハビリテーション開始前又は実施中の留意事項、やむを得ず当該リハビリテーションを中止する際の基準、当該リハビリテーションにおける利用者に対する負荷等のうちいずれか1以上
の指示を行うこととされていますので、通所リハや訪問リハにおいて、医師の積極的な関わりは必須といえます。
リハビリテーションマネジメントにおける医師の関与の工夫
医師に関与していただく工夫として、私の勤務する施設では、通所リハで回診を実施しています。
月12回(各曜日、午前・午後)30分ずつ利用者と直接関わりをもっていただくようにしています。
回診をすると、利用者は普段話さないようなことを医師に相談したりされるので、意外にといっては失礼ですが、結構有意義な活動になっています。
認知症の方でも白衣を着た医師と接すると背筋を伸ばしてしっかり受け答えされてたり、普段とは違う一面をみることもできます。
また、「リハビリテーションマネジメント加算等に関する基本的な考え方並びにリハビリテーション計画書等の事務処理手順及び様式例の提示について」では
なお、医師がやむを得ない理由等によりリハビリテーション会議を欠席した場合は、リハビリテーション会議以外の機会を通して、利用者又はその家族に対して、当該計画を説明し、同意を得ること
http://www.roken.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/10/vol.747.pdf
とされていますので、この回診の機会を利用してリハビリテーションマネジメントⅢ・Ⅳの要件を満たせるように計画書を説明していただくこともあります。
医師の関与についてはこちらの記事で詳しく解説していますのでご参照ください。
まとめ
リハビリテーションマネジメントは今までリハビリテーション専門職があまり関わることがなかったマネジメント業務を行う必要があります。
他職種を、しかも他施設を巻き込んでリハビリテーションを進めていくことが求められます。
また、リハビリテーションマネジメントでは、医師の関与がとても重視されています。
医師を巻き込むことができず、今までリハビリテーションマネジメントの算定ができなかった施設が多くあると思います。
医師をどう巻き込むかはとても重要なポイントとなると思います。
医師を巻き込むポイントについてはこちらの記事でまとめていますので、ぜひご覧ください!
次回の改定ではリハビリテーションマネジメント加算Ⅰは廃止され、
リハビリテーションマネジメント加算A、B
になり、リハビリテーションマネジメントを算定するためにはリハビリテーション会議が必須となります。
令和3年度介護報酬改定についてはこちらの記事をご覧ください。
4月までに準備を進め、少しずつでも算定を開始する事業所が増え、リハビリテーションマネジメントが世の中に浸透すればいいなと思っています。
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