※文中に出てくる「個別リハ」という用語は
20分1単位として利用者と1対1で関わる個別リハビリテーション
という認識で読み進めていただきたいと思います。
みなさんが働いている、もしくはご存じの通所リハビリテーションでは、20分1単位の個別リハビリを提供されていますか?
通所リハの管理者や勤務している方の中にはこの20分1単位の個別リハをやめたいと思っている方もおられると思います。
私が勤務していた通所リハビリテーションでは平成27年度の介護報酬改定から一切の個別リハビリテーションを終了しました。
今回から数回に渡って私が勤務していた施設で20分の個別リハをやめるまでの道のりやその根拠を整理していきたいと思います。
通所リハで個別リハ20分をやめるために知っておきたい制度のこと
まず、通所リハの制度について確認しておきましょう。
通所リハの加算の中で”リハビリテーション”という用語が用いられる加算は次の7つです。
- リハビリテーション提供体制加算
- リハビリテーションマネジメント加算(A)
- リハビリテーションマネジメント加算(B)
- 短期集中個別リハビリテーション実施加算
- 認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ)
- 認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ)
- 生活行為向上リハビリテーション実施加算
それぞれの算定要件を簡単に確認していきましょう。
リハビリテーション提供体制加算
これは体制加算で、利用者25人に対してセラピストが1以上配置されていればとれる加算です。
リハビリテーションマネジメント加算(A)(B)
リハビリテーションマネジメント加算は通所リハの加算の中心を担っているといっても過言ではない大きな加算です。
リハビリテーションマネジメント加算については以下の記事もご参照ください。
厚生労働省から出されているリハビリテーションマネジメント加算の概略図を示しておきます。
かなり要件が多い加算ですが、注目すべきは
加算の要件の中に20分1単位とする個別リハビリテーションを実施するという要件がない
ということです。
つまり、従来の個別リハビリテーションを実施しなくてもリハビリテーションマネジメント加算は取得できるのです!
短期集中個別リハビリテーション実施加算
この加算が唯一”個別リハビリテーション”という用語が用いられている加算です。
要件は以下の通りです。
退院後、集中的なリハビリテーションを実施するための加算で、週2日以上、1日40分以上の個別リハビリテーションの実施が要件となっています。
リハビリテーションマネジメント加算を算定していることも要件に入っているので、時間的にも事務作業的にもかなり負担の大きい加算となります。
認知症短期集中リハビリテーション実施加算Ⅰ・Ⅱ
認知症短期集中リハビリテーション実施加算はおおむねMMSE5~25点のものに対して認知機能や生活環境を踏まえ、生活機能を改善するためのリハビリテーションを実施することで取得できる加算となっています。
主な加算要件は以下の通りです。
認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅰ)に関しては個別にリハビリテーションを20分以上実施することが要件とされていますが、より上位の加算の認知症短期集中リハビリテーション実施加算(Ⅱ)に関しては個別または集団でリハビリテーションを実施すること、とされています。
Ⅱではそれに加えて利用者の居宅を訪問して評価、支援を行うことが要件とされており、より生活に直結した支援を評価する加算構造になっています。
生活行為向上リハビリテーション実施加算
生活行為向上リハビリテーション実施加算は点数が大きく、なかなかハードルが高い加算ですよね…
算定要件は以下の通りです。
生活行為向上リハビリテーション実施加算は算定開始から6月まで、1月1,250単位が取得できる大きな加算です。
とても大きな加算ではありますが、
この中にも”個別リハビリテーション”という用語は出てきていませんね。
通所リハで個別リハ20分をやめるために①まとめ
もう少し色々書きたかったんですが、ボリュームがけっこう多くなってきたので次回に続くということにしたいと思います。
制度面の整理をしてお分かりかと思いますが、
制度上は必ずしも個別リハビリテーションを実施する必要はない
という状態になっています。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は絶対個別で関わらないといけない!
というのは間違いだということですね。
次回はそのことをどうやって周りに理解してもらうのかについて書いていきたいと思います。
ぜひ次の記事もご覧ください!
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