みなさんこんにちは!
理学療法士のあきです。
私はこれまで総合病院、介護老人保健施設、訪問看護ステーションで理学療法士として働いてきました。
このブログではリハビリテーションのこと、制度のことを中心に発信しています。
リハビリテーションを行う上で、制度やリハビリテーションの大きな流れについて理解しておくことは重要です。
それぞれの記事は3~5分程度で読めるボリュームとなっていますので、ぜひいくつかの記事を読んで制度やリハビリテーションの流れに触れてください!
なにかと話題にあがる訪問看護ステーションからのセラピストの訪問。
以前、こんなツイートをしたら、多くのコメントやディスカッションをしていただきました。
今回はこのツイートの内容もまとめながら、訪問看護からのセラピストの訪問、終了に対する考え方について考えていきたいと思います。
訪問看護ステーションはリハビリテーションを提供しているのか?
まず、訪問看護ステーションに関わる制度の整理からしていきます。
訪問看護ステーションとは
まずは厚生労働省による訪問看護の定義について確認しておきましょう。
疾病又は負傷により居宅において継続して療養を受ける状態にある者に対し、その者の居宅 において看護師等が行う療養上の世話又は必要な診療の補助をいう
(訪問看護についてMicrosoft PowerPoint – 総-1 111110訪問看護.pptx (mhlw.go.jp)
当然と言えば当然ですが、看護師が主体のサービスの定義となっています。
診療の補助となっているので、ここにリハビリテーションも含まれるという解釈でリハビリテーションも提供されていると考えることができます。
病気や障害を持った人が住み慣れた地域で、その人らしく療養生活を送れるように、
(全国訪問看護事業協会訪問看護を利用する方 – 一般社団法人全国訪問看護事業協会 (zenhokan.or.jp)
看護師等が生活の場へ訪問し、医師の指示書のもとに、看護ケアを提供し、自立した生活を送れるよう支援するサービス
こちらは全国訪問看護事業協会による定義です。
訪問看護の目的として
自立した生活を送れるよう支援するサービス
とあります。
訪問看護ステーションからのリハビリテーション専門職はどのような制度で訪問しているのか
実は訪問看護の加算、算定項目にリハビリテーションというワードは出てこないのです。
では上記のような定義で運営されている訪問看護ステーションからリハビリテーション専門職はどのような制度で訪問しているのでしょうか?
訪問看護ステーションからリハ職が訪問した時の基本報酬は以下のように設定されています。
- 訪問看護Ⅰ5 … 293単位(1回/20分につき)
- 予防訪問看護Ⅰ5…283単位(1回/20分につき)
- 3回以上のときは90%減算される
- 一日2回まで、週6回までの制限がある
Microsoft PowerPoint – 02_訪問看護 (mhlw.go.jp)
上記のように訪問の回数に制限が設けられており、60分の訪問をすると減算される仕組みになっています。
訪問看護ステーションからのリハ専門職の訪問と訪問リハビリテーションの違いとは?
利用者の居宅にリハビリテーション専門職が訪問するサービスとして、訪問看護ステーションの他に訪問リハビリテーションというサービスがあります。
訪問リハビリテーション
居宅要介護者について、その者の居宅において、その心身の機能の維持回復を図り、日常生活の自立 を助けるために行われる理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーション
厚生労働省PowerPoint プレゼンテーション (mhlw.go.jp)
訪問リハビリテーションは訪問看護と違い、リハビリテーション専門職が単独で訪問し、サービスを提供できる制度です。
ただし、訪問リハビリテーションを開設できるのは病院、診療所又は介護老人保健施設であることとされていますので、リハビリテーション専門職が開業して訪問リハビリテーションを提供するということはできません。
訪問看護ステーションからのリハビリは終了しないといけないのか?
ここまでみてきたように、訪問看護ステーションからのリハビリテーション専門職の訪問は、制度上リハビリテーションには位置づけられておらず、制度上はあくまで訪問看護の一環として訪問しています。
しかし現状として訪問リハビリテーション事業所は少なく、その役割を訪問看護が担っている場合も多い。
また、医療依存度が高い利用者など、看護師と連携して支援にあたることでより利用者にとって有効な支援を提供することができることも多いと思います。
しかし現状として要支援利用者や自立度の高い利用者に対しても訪問看護からリハビリテーション専門職が訪問していることも少なくありません。
リハビリテーションとは、以前こちらの記事でもご紹介しているように、終了を前提とするサービスであるべき、との定義があります。
実態として機能改善、生活機能改善のために支援しているのであれば、明確な目標を立てて終了に向かって支援を進めていくのが良いのではないか。
現状維持、進行性疾患の利用者に対する絶え間ない支援が必要である場合や全身状態が悪く、看護と密な連携をとりながら支援していく必要がある場合は必ずしも終了が善し、とはならないのではないでしょうか。
そのような場合に対応するためにも制度上、終了を推し進めるような加算や減算もない状態になっているとも考えられます。
訪問看護のリハビリテーションってなんだ?まとめ
訪問看護で前述したような機能改善、生活機能改善のために支援を提供しているのであれば、訪問リハビリテーション事業所からリハビリテーションを提供するのが厚生労働省が思い描いている形なのか。
それにしては訪問リハビリテーション事業所が少ないのが現状で、現在訪問看護からリハビリテーション専門職が訪問している数を訪問リハビリテーション事業所でカバーすることは不可能です。
訪問リハビリテーションは開設母体も限られており、この訪問リハビリテーションの事業所数を増やし、適切なサービスを提供できる体制を整えることは今後の課題だといえます。
これはリハビリテーション専門職の雇用を増やすことにも繋がり、そのような観点からも重要な点かもしれません!
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