みなさんこんにちは!
理学療法士のあきです。
私はこれまで総合病院、介護老人保健施設、訪問看護ステーションで理学療法士として働いてきました。
このブログではリハビリテーションのこと、制度のことを中心に発信しています。
リハビリテーションを行う上で、制度やリハビリテーションの大きな流れについて理解しておくことは重要です。
それぞれの記事は3~5分程度で読めるボリュームとなっていますので、ぜひいくつかの記事を読んで制度やリハビリテーションの流れに触れてください!
良くなるってなに?
ふと思い立った疑問。
私たちは普段、患者・利用者が良くなるために仕事をしていると思います。
でも、良くなるっていったい何だろう?
そんなことがふと頭に浮かび、なんだかうまく説明できませんでした。
今回の記事ではそんなふとした疑問を自分なりに整理していこうと思います。
良くなるってなに?なにをもって良くなったといえるのか?
まず、良くなった、とは誰が判断するんでしょうか?
そしてなにをもって良くなった、といえるのでしょうか?
良くなってほしいのはだれ?
私たちの仕事において、良くなってほしいと思う関係者は
- 本人
- 家族
- 支援者
- 保険者(市町村、都道府県、国)
に分けられるのではないかと思います。
本人、家族はもちろん、良くなるために治療や支援を受けていますので、良くなってほしいと思うのは当然です。
支援者は自分たちがしていることがクライアントに有益であることが仕事の報酬の一部となると思います。
昔、罰として右のバケツから左のバケツに水を移し、移し終えたらまた左のバケツから右のバケツに水を移す、という罰があったぐらいですから、意味のないことを漠然とやり続けることはなかなか苦痛です。
最後に保険者である市町村、都道府県、国です。
こちらの記事で紹介したように、医療や介護は健康保険法、介護保険法に則って運営されています。
これらの法律の目的通り良くなることで、社会保障費の削減が期待できます。
どんどん膨らんでいる社会保障費が削減できれば、保険者も喜ぶはずです。
ではそれぞれの立場の「良くなる」は同じ方向を向いているのでしょうか?
答えはノーであることが多いと思います。
それぞれの立場が望む、良くなるはそれぞれの立場によって違うはずです。
どうなったら良くなったといえるのか
では、それぞれの立場でどうなったら良くなった、と判断できるのでしょうか。
良くなったかどうかを判定するには目的語が必要です。
なにか目標に対して良くなった、なにかの問題点が良くなったという言い方はできますが、ただ漠然と良くなった、ということはできません。
関係者全員が納得したうえで、しっかりと目標を設定し、その目標に対して良くなったかどうかの判定が必要です。
しかし先ほど挙げた関係者はそれぞれの利益となることが少しずつ異なります。
例えば
本人…
自分の生活の質、やりたいこと、希望…
家族…
介護負担の軽減、自分の生活…
支援者…
利用者の改善、自己効力感、支援者としての評価…
保険者(市町村、都道府県、国)…
社会保障費の削減、国民の幸福度…
このように似ているようで何となく違う方向を向いていることも多々あると思います。
どの場面において良くなった、というのかを明確にしておく必要があるかもしれません。
良くなるってなに?良くなるための支援とは?
では、良くなるためにどのようなことが私たちにできるのでしょうか。
まず重要なことは、目標を明確にすることです。
ここではいったん、保険者は置いておいて、本人、家族、支援者の視点で考えてみましょう。
先ほど示したように、それぞれの立場で微妙に良くなるということの意味合いが異なります。
例えば、支援者が良かれと思って支援していることが、本人や家族にとっては苦痛だった、ということも起こり得ます。
これは支援される側と支援する側が目標についてしっかりと合意できていないことが原因としてあります。
そこで、目標についてしっかりと話し合い、合意したうえで支援を開始して何に対して良くなるための支援なのかを明確にしておく必要があります。
ここで重要なことは、二項対立の図式を作らないことにあります。
二項対立とは?
こちらは詳しくはこちらの記事でまとめていますので、そちらをご参照ください。
目標の合意とは、誰かの利益のために他のメンバーを犠牲にするのではなく、各々の目標をしっかり深堀りし、全員が同じ方向を向いて支援を開始できる状態にすることです。
そしてそのための支援の方法を考えることが重要です。
関係者全員でしっかり目標について合意し、全員が同じ方向を向いて支援を開始し、全員のwell-beingを達成できるような取り組みができると良いですね。
良くなるってなに?well-beingのためにできること
では、目標を設定し、具体的にどのような支援ができるのでしょうか。
私は現在、訪問看護ステーションで勤務しており、在宅で生活されている利用者の支援にあたっています。
一言で「利用者を良くする」といってもその方法は様々です。
どうすれば一番早く、効率的に良くすることができるでしょうか?
どうすれば最もコスパ良くhappyになれるでしょうか?
Who is the client?
という言葉があります。
誰がクライアントなのか?
誰のために誰に対して支援するのか?
利用者がhappyになるために、
利用者の身体機能の向上を図るのが良いかもしれません。
家族に対して介助方法を伝達するのが良いかもしれません。
福祉用具を使い、住環境を整備するのが良いかもしれません。
なにが良くなったら良いのか?
そのためにどのような支援をするのか?
どうすれば関係者全員がwell-beingになれるのか?
そのような疑問を持った時、
Who is the client?
の答えを考えると、ヒントになるかもしれません。
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