みなさんこんにちは!
理学療法士のあきです。
私はこれまで総合病院、介護老人保健施設、訪問看護ステーションで理学療法士として働いてきました。
このブログではリハビリテーションのこと、制度のことを中心に発信しています。
リハビリテーションを行う上で、制度やリハビリテーションの大きな流れについて理解しておくことは重要です。
それぞれの記事は3~5分程度で読めるボリュームとなっていますので、ぜひいくつかの記事を読んで制度やリハビリテーションの流れに触れてください!
前回は「良くなるってなに?」をテーマに記事を書きました。
(前回の記事はこちら)
利用者への支援にあたるとき、目標設定を行うと思います。
そんなとき…
歩けるようになると、介護が大変になるから歩けるようにならないでほしい!
みたいな場面に遭遇したことはないですか?
利用者本人か家族、どちらの意見を聞いて目標設定すれば良いんだろう?
と悩まれる方もいらっしゃると思います。
この記事ではそんなときに頭の片隅に置いておくと役に立つ、二項対立と二律背反について解説していきたいと思います。
二項対立・二律背反とは?
まず、二項対立と二律背反とはなにか、用語について簡単に解説していきます。
二項対立とは
まず、二項対立とは…
二項対立は論理学の用語で、2つの交じり合わない対立した概念のことをいいます。
全く別のものが2つ存在している状態をさす用語です。
二律背反とは
次に二律背反とは…
一方、二律背反は哲学の用語で、どちらの主張も正しく、どちらも同じくらいの正当性がある状態を指します。
片方が成り立てば片方が成り立たない、ジレンマともいわれる状態に近いですね。
支援場面における二項対立・二律背反の具体例
それでは実際の支援場面においての二項対立・二律背反の具体例を考えていきましょう。
複数の人が関わる場面では、全員が同じ意見を持つことはあり得ません。
そんなときにこの二項対立や二律背反という概念を知っておくことで、全体を客観視できるようになると思います。
二項対立の具体例
まず、二項対立の具体的な場面として、
デイサービスに行って運動するか、机上課題をするのか
といった状態があります。
デイサービスに行って運動するか机上課題をするか選択しないといけない場面があります。
しかしこの場合、どちらを選んでも良いし、どちらも選んでも、どちらも選ばなくても良いです。
二項対立はこのようにお互いがお互いに影響を与えない2つのものが存在している状態を指します。
二律背反モデルの具体例
次に二律背反の具体的な場面として、
本人は自分で動きたい
家族は介護が大変になるので動いてほしくない
という状態があります。
本人の希望を叶えると転倒リスクが増えるため、家族の希望は叶えられない、家族の希望を叶えると移動が制限されるため、本人の希望は叶えられません。
二律背反とは、このように2つのものがお互いに影響し合い、綱引きをしている状態を指します。
二律背反モデルで目標設定をするとどうなる?
では、二律背反モデルで目標設定をした場合、どのような結末になるでしょうか?
二項対立とは、先ほど解説した通り、2つの交じり合わない事象が存在しています。
先ほどの具体例で挙げたように、
本人は自分で動きたい
家族は介護が大変になるので動いてほしくない
といった意見の対立があったとします。
本人の希望を叶えると転倒リスクが増えるため、家族の希望は叶えられない、家族の希望を叶えると移動が制限されるため、本人の希望は叶えられません。
つまり、二律背反の状態ではどちらか一方は希望がかなえられず、不幸になるといえます。
また、希望を叶えられたほうも他方は自分の犠牲になっていることがわかるため、あまりスッキリしないかもしれませんね。
二項対立と二律背反から考える目標設定
リハビリテーションの支援場面では、色々な立場のステークスホルダーが存在します。
それぞれの立場でのニーズやデマンドがあり、聞いたままではすべての望みを叶えることはできません。
しかしその表出されたニーズ、デマンドを深堀りすることで、みんなの本質的な望みを見つけ出し、共通点を探ることが必要です。
そのためには目標設定の方法をしっかり勉強し、整えておかなければなりません。
目標設定の方法については別の記事で詳しく解説したいと思います。
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