みなさんはBYODという言葉をご存じでしょうか?
BYODとは”Bring Your Own Device”の略で、業務に私物のスマートフォンやパソコン、タブレットなどを使用することを意味します。
今回は医療・介護現場でのBYODについて情報を整理し、考えていきたいと思います。
そもそも医療・介護現場とBYODとは
そもそもBYODは一般企業で導入され始めた方法で、各個人がスマートフォンやタブレットを所有し、その機能が向上したことでビジネスにおいても使用できる端末を個人が所有し始めたことが背景にあると言われています。
日本での普及率は2018年の調査では10.5%と言われており、アメリカの23.3%、イギリスの27.8%と比較しても低い数値となっています。
ただでさえ一般企業に比べるとICT化が遅れている医療・介護業界ではBYODはあまり進んでいないといえそうです。
医療・介護現場におけるBYODのメリット・デメリット
ではまずBYODのメリット・デメリットを整理していきましょう。
BYODのメリット
まず、BYODのメリットを確認していきましょう。
- システム導入の際の初期コストを抑えられる
- 使い慣れた危機を使用することでシステムが導入しやすくなる
- 複数の端末を所有する必要がなくなる
- リモートワークの導入がしやすくなる
もともと私物として所有している端末を使用するため、端末数が増えたり新しい操作を覚えなくて済むため、シンプルにシステムを稼働することができるといえます。
BYODのデメリット
一方で私物の機器ゆえ、デメリットも存在します。
- 個人情報などの情報漏洩のリスクが高まる
- 自宅でも業務が可能となり労務管理が難しくなる
- 適切なルール設定が必要となる
特に気になるのが一番に挙げた”情報漏洩リスクが高まる”ということではないでしょうか。
医療・介護現場では患者・利用者の個人情報を多く取り扱っており、職員間のやり取りでも当然利用者の氏名をはじめとした個人情報をやり取りする場面が多くあります。
また、労務管理が難しくなり、たびたび取り上げられるサービス残業のような状態が常態化する可能性もあります。
時間に関係なく仕事の対応をしなければならない…という状況に陥ることも考えられ、適切なルール設定が必要と言えます。
医療・介護現場においてBYODは許可されるのか
先ほど挙げたようなメリット・デメリットがあるBYODですが、そもそも医療・介護現場においてBYODを行うことは制度上許可されているのでしょうか?
医療情報システムの安全管理に関するガイドライン第5版ではBYODに関して以下のように記載されています。
個人の所有する、あるいは個人の管理下にある端末の業務利用(以下「BYOD」(Bring
医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5版
Your Own Device)という。)は原則として行うべきではない。上記の要件を実現する
ためには端末のOS の設定を変更する必要があるが、この機能は管理者に限定されなけ
ればならない。管理者以外による設定の変更を技術的あるいは運用管理上、禁止でき
ない限り、BYOD は行えない。
原則として行うべきではない、と記載されています。
後半の端末のOSの設定~が可能であれば使用できると解釈できます。
例えばこちらの本で紹介されているLINEWORKSは管理者が各端末にアクセスし、アプリやデータを削除することが可能であり、上記の条件を満たす可能性があります。
医療・介護現場でBYODを導入するためには
BYODの導入を考える際には使用する予定のシステムの担当者ともよく相談し、システム管理上導入できるのか、ガイドラインに抵触しないかなどの確認が必要です。
また、個人情報や端末使用に関する誓約書を作成したり、業務時間外の端末の取り扱いやメッセージへの返信の必要性の有無など、しっかりとルールを決めて運用することが重要です。
介護現場におけるBYODまとめ
BYODはシステムを導入する際に導入時のハードルを下げる有効な手段だといえます。
しかし、ガイドラインではあまり推奨されておらず、無視できないデメリットも抱えています。
BYODのメリット・デメリットをしっかりと理解し、各施設で導入可能なのか、導入することによってメリットを享受できるかどうか見極めることが必要です。
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