「自分でする」のか「してもらう」のか

あなたはごはんを自分で食べるほうが良いですか?
誰かに食べさせてもらうほうが良いですか?

着替えを自分でするほうが良いですか?
誰かに着替えさせてもらうほうが良いですか?

なんでもしてもらうのは王様やお姫様みたいで憧れる!
という方もおられるかもしれませんね。

逆に自分で食べないと食べた気がしないし、
自分で服を着ないとしっくりこないじゃないか!
と思われる方もおられるかもしれません。

今日は自分ですることとしてもらうことの違い、
自分ですることによって何が起きるのか、

してもらうことによって何が起きるのか
について記事を書いていきたいと思います!

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「自分でする」ことと「してもらう」ことの違い

まずはこの記事で扱う
自分でする」ことと「してもらう
ということについて、言葉の整理をしておきたいと思います。

「自分でする」とは

「自分でする」とは言い換えると

能動的
自発的
主体的
active

といったところでしょうか。
つまり
自分の身体を自分の意思で動かして行動すること
という意味で「自分でする」という言葉を使っていきたいと思います。

例えば

  • ポテトを食べたいからテーブルに並んだポテトに手を伸ばして食べる
  • ハンバーガーを食べたいからマクドナルドに行く
  • 寒いから長袖のシャツを着たいので着替える

というように、自らの考え、判断をもとに身体を動かして行動することです。

「してもらう」とは

では次に「してもらう」とは言い換えると

受動的
外発的
従属的
passive

といったところでしょうか。
つまり
自分の身体を自分の意思とは関係なく動かして行動すること
という意味で「してもらう」という言葉を使っていきます。

例えば

  • 食卓に並んだおかずの中から介助者が選んだおかずを口に運んでもらって食べる
  • 家から出るのが面倒なのでヘルパーに任せて昼食を買ってきてもらう
  • 家族が用意した着替えに介助者が全介助で着替える

というように、自らの意思、希望と関係なく他者からなにかをしてもらうことです。

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「自分でする」のと「してもらう」ことによる身体への影響

ここである研究をご紹介したいと思います。

1963年にHeldとHeinが発表した研究です。

かなり古い研究ですが、有名な研究なのでみなさんも聞いたことがあるかもしれません。
この実験では、下の図のように

A=能動的に動くことができる猫
B=箱の中に入れ、受動的にしか動けない猫

を作り、2匹の猫を繋いで円柱の中に置きます。
Aの猫は自分の脚で移動し、Bの猫はAの猫が動いたら同じように動かされるという構造です。

この状態で猫を育てると、
Aの猫は正常に発達しますが、
Bの猫は正常な空間認識能力を形成できなくなってしまい、モノにぶつかったり避けるべき所を避なかったり、リーチも不適切になってしまいます。

2匹の猫が見ていた光景は同じ円柱の中なので、全く同じ光景を見ており、違いは
自分で動いていたか、動かされていたか
の違いだけなのです。

能動的な運動か受動的な運動かによって空間認知能力に差が出たという研究です。

これを人間に当てはめるとどのようなことが起こるでしょうか?

トイレの場面を想定してみましょう。

トイレ

排泄するまでにだいたいこのような行程がありますね。

これを全て自分でするのとしてもらうのとでは

  • 歩行
  • 方向転換時のバランス能力
  • 上肢の運動
  • リーチ動作

等など
自分でする場合は発揮される能力が
してもらう場合では発揮できなくなります。

使わない能力は衰えていきますから、
先ほどの実験の猫と同じように
歩かなければまっすぐ歩けなくなる
バランスが取れなくなり転倒しやすくなる
遠くに手を伸ばすことができなくなる

といったことが起きることが考えられます。

これじゃ自立支援とはかけ離れた支援になってしまいますね。

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クライアントに「自分でする」か「してもらう」人のどちらを目指してもらうのか

ではクライアントに自分でする人を目指してもらうのか、してもらう人を目指してもらうのか、どちらが良いでしょうか?

答えは明確ですね。
もちろん
自分でする人を目指してもらいたいですね。

自分ですることによって身体の様々な機能を使い、生活することになります。
自分ですることによってしてもらうときと比較すると体力的にしんどかったり、時間がかかることがあるかもしれません。

しかし、長い目で見ると
自分でするほうが身体機能が長く維持できます。
誰かに依存せずに生活できる幅が広がります。

確かに目の前の動作はしてもらうほうが楽ですが、
まだまだ先に続く人生をより良く過ごしていただくために
ぜひ「自分でする」人を目指してもらいたいものです。

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「自分でする」ための仕掛け

では、「自分でする」クライアントを増やすためにどのような方法があるでしょうか?

まず、動機づけが重要です。
動機づけに関してはこのブログでまとめていますので、こちらをご覧ください。

どのようなモチベーションで運動に取り組んでいただくか、日々の生活を過ごしていただくかはとても重要な要素だと思います!

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「自分でする」のか「してもらう」のか

この記事では
「自分でする」のか「してもらう」のかどちらが良いのか、どのように「自分でする」ようにしていくのかをまとめました。

  • 「自分でする」とは 自分の身体を自分の意思で動かして行動すること
  • 「してもらう」とは 自分の身体を自分の意思とは関係なく動かして行動すること
  • 能動的な運動か受動的な運動かによって空間認知能力に差が出たという研究がある
  • 自分でするほうが身体機能が長く維持でき、誰かに依存せずに生活できる幅が広がる
  • どのようなモチベーションで運動に取り組んでいただくか、日々の生活を過ごしていただくかはとても重要な要素

いつまでも元気で自分らしく生活を続けるために
目先の楽さに踊らされず、色々なことを「自分でする」方を増やしていきたいですね!

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