※文中に出てくる「個別リハ」という用語は
20分1単位として利用者と1対1で関わる個別リハビリテーション
という認識で読み進めていただきたいと思います。
通所リハで個別リハをやめるための道のり。
今回は各方面に理解を得て、実際に個別リハをやめた私の経験を基にまとめていきます。
個別リハをやめたいけど周囲がなかなか納得せずやめられない…
という方必見です!
通所リハで個別リハ20分をやめるための道のり①、②のおさらい
まず、ここまでのおさらいをしていきましょう。
道のり①では制度についてまとめました。
制度上は必ずしも個別リハビリテーションを実施する必要はない
ということがわかりました。
詳細はぜひこちらの記事をご参照ください!
次に②ではステークスホルダー、理解を得るために使えそうな情報をまとめました。
上司・同僚・部下、ケアマネジャー、利用者・家族に
しっかりと納得できる説明をし理解してもらう必要があります。
詳細はこちらの記事をご参照ください!
それでは今回は前回の記事でまとめたステークスホルダーに説明し
しっかり理解してもらい、個別リハをやめていきましょう!
通所リハで個別リハ20分をやめるための道のりStep1~上司、同僚、部下の理解を得る~
まずは身内から。
上司や同僚、部下と事業所としてどのような方針で支援していくのか
しっかりと統一しておく必要があります。
あの人はマッサージしてくれたのに他の人はしてくれない
なんてことになりかねませんからね。
ちなみに利用者の認識では
関節可動域運動や徒手抵抗運動=マッサージ
であると考えておくべきだと思います。
いわゆるHands onでのリハビリテーションはマッサージだと認識される
と思っておいても大きく外れではないと思います。
できるだけHands offでできる方法を考え、
どうしても触る必要がある場合のみ触るようにしないといけません。
ではどうやって説明すれば個別リハをやめることを理解してもらえるのでしょうか?
通所リハでは改定のたびにリハビリテーション計画書の書式の変更、
リハビリテーション会議の開催、訪問頻度の増加など
1on1での支援以外の業務が増えています。
おそらく個別リハを続けていては全利用者に対して
上記のような支援はできないのではないでしょうか?
また、上位の加算を取ろうとすればするほどそのような業務が増えていくようになっています。
つまり、
より効率的に働き、上位の加算を算定して収益を上げるために個別リハをやめる
という説明が成り立ちます。
上司からすれば収益が上がる提案はしっかり検討してくれると思います。
同僚や部下に対しては間接的に支援することの重要性を
しっかり理解してもらうことが重要です。
1on1でアプローチするのではなく、
実際の生活場面での評価や他職種への助言に時間を割き、
より良い支援、生活動作ができるように間接的に支援することで
たった20分の個別リハよりもより多くの成果を上げることができます。
通所リハで働いているセラピストの多くは
生活がみたいという思いが強いと思いますので、
実際の生活場面を見たり自宅に訪問する機会が増えることは
決して悪い話ではないと思います。
通所リハで個別リハ20分をやめるための道のりStep2~ケアマネの理解を得る~
次はケアマネジャーに説明していきましょう。
実はここが最難関&最重要だといえます!
しっかりと取り組みについて理解し、賛同をいただけると
利用者や家族に一緒に説明し、一丸となって支援に取り組むことができます!
しかし、賛同を得られないと
利用者とタッグを組んで猛反発されることになります…
まず前提として
ケアマネジャーはリハビリテーションの専門家ではないので、
リハビリテーションに関する知識や情報はあまり持っていない
ということと、
ケアマネジャーは通所リハだけを利用しているわけではないので、
改定内容を隅々まで理解している方は少ない
ということを頭に入れておかなければいけません。
ケアマネジャーの中には
リハビリ=マッサージなどの個別機能訓練
という認識の方も多くおられます。
個別機能訓練とリハビリテーションの違いに関してはこの記事でまとめています。
ですから、まずはリハビリテーションをどのような目的で行うのか、
どのような手段があるのかをかみ砕いて説明し、理解していただく必要があります。
ケアマネジャーは通所リハだけでなく、
訪問介護、訪問看護、福祉用具、通所介護、介護支援専門員…
など介護保険に関わる全ての情報を把握しておく必要があります。
ですからリハビリテーションにめっぽう詳しかったり、
通所リハの改定内容を全て隅々まで把握しているなんてできるはずがありません。
それは例えば私たちセラピストが福祉用具のレンタル料金を
全て把握しているようなものだと思います。
私たちは相手の立場を理解し、相手にわかりやすく要点を伝える必要があります。
個別リハがなくなることでどのような支援ができ、
利用者にどのようなメリットがあるのかをしっかりと説明する必要があります。
また、ケアマネジャーは算定単位が増えることに抵抗をしめすかもしれません。
どのように支援方法が変わり、どんな効果があり、
増える単位数以上のメリットが利用者にあるのかを説明し、
理解していただくことが大切です。
またこちらの記事を参考にしていただき、
通所リハと通所介護の違いについても説明し、
理解して使い分けていただく必要があると思います。
ケアマネジャーの同意を得ることができれば、
利用者は通所リハ、ケアマネジャーから同じ支援方針の説明を受けることができ、
理解しやすくなると思いますので、
ケアマネジャーには単位数などの表面的な理解だけではなく、
支援の方針などをしっかり理解していただけるように説明することが重要です。
通所リハで個別リハ20分をやめるための道のりStep3~利用者・家族の理解を得る~
最後は利用者本人、家族です。
通所リハの利用契約を結び、実際に関わるのは利用者本人ですから
ここに理解してもらい、利用していただかないことには何も始まりません。
利用者やその家族は当然、専門的な知識はありません。
また、通所リハ利用者の多くは
病院で個別リハを受けた後に通所リハにやってきます。
つまり、
リハビリテーション=個別リハ
という認識がとても強い状態で通所リハの利用を開始されます。
ですから、契約時の説明がとても重要となります。
イラストや図を用いて平易でわかりやすい言葉を使って
病院と生活期でのリハビリテーションの役割の違い
通所リハで目指すリハビリテーションの目標
などを説明することが大切です。
身体機能の改善がみられなくても
生活機能が改善することはみなさんもよくわかっておられると思います。
利用者はどうしても
身体機能の改善=生活機能の改善
と認識している方が多く、家族もそれを同じように期待されています。
大事なことは生活機能を改善し、本人が自分でできることを増やすこと
だということを理解していただけるように説明することが大切です。
通所リハで個別リハ20分を実際にやめるための3Stepまとめ
さて、3記事に渡って個別リハをやめるための道のりを説明してきました。
- 制度上の個別リハの扱い
- 個別リハをやめることで得られるメリット、デメリット
- 理解してもらうべきステークスホルダー
- 理解してもらうための説明のポイント
についてなにかヒントになれば幸いです。
通所リハで20分1単位の個別リハが算定要件から消え、
リハビリテーション会議の開催など
リハビリテーションマネジメントについて大きな加算がついている
ということは厚生労働省からのメッセージだと捉えています。
個別リハを漫然と続けるのではなく、
より効率的に、効果的な支援方法を模索し、
利用者の自立支援を目指し、
利用者の生活がより良いものになるように
私たちも変わっていかないといけないと思います!
最後までお付き合いいただきありがとうございました!
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