通所リハビリテーション、訪問リハビリテーションでは
リハビリテーションマネジメント加算Ⅲ・Ⅳの算定要件では
リハビリテーション会議
を開くことが必要となります。
ここではリハビリテーション会議について、会議を開催する目的や実際の運用も含めてご紹介したいと思います。
リハビリテーション会議とは
厚生労働省から令和元年 10 月 28日に出された
リハビリテーションマネジメント加算等に関する基本的な考え方並びにリハビリテーション計画書等の事務処理手順及び様式例の提示について
ではリハビリテーション会議で協議する内容を以下のように定めています。
リハビリテーション会議では、アセスメント結果などの情報の共有、多職種協働に向けた支援方針、リハビリテーションの内容、構成員間の連携等について協議するよう努めること。 利用者の必要に応じて、短期集中個別リハビリテーション、認知症短期集中リハビリテーション、生活行為向上リハビリテーションを実施することについても検討すること。
リハビリテーションマネジメント加算等に関する基本的な考え方並びにリハビリテーション計画書等の事務処理手順及び様式例の提示について
つまり、サービス提供者が各々の持っている情報を共有し、連携を図り、リハビリテーションマネジメントを進めていくことがリハビリテーション会議を開催する目的となります。
リハビリテーションマネジメントに関しては1つ前の記事を参照してください。
また、このテキストにはとても詳細にリハビリテーションマネジメントについて書かれており、非常に参考になります。
リハビリテーション会議の準備
リハビリテーション会議は通所リハ、訪問リハ事業所が主催します。
通常のサービス担当者会議では、CMが日程調整をされ、設定された日程で参加する形ですが、リハ会議は我々リハ専門職が日程調整し、当日の議事進行も担うことになります。
まず、日程調整に関しては原則、本人と家族、サービス提供者全員に対して日程調整を行うことになっていますので、関わるサービスが多ければ多いほど参加者も多くなるということになります。
しかし、現実的には全員の日程を合わせることは難しく、主要なメンバーを中心に日程調整を行うことになります。
このメンバーは本人、家族、CMとなることが多いです。
参加できない事業所には照会を依頼し、後日、議事録を送付する形になります。
リハビリテーション会議の進め方
会議はリハビリテーション計画書を中心に進めます。
リハビリテーション計画書を参照し、評価結果や目標の確認、それに対する課題の整理や進捗状況の共有を行います。
本人、家族には改めて日常生活の状況や新たに出てきた問題点や希望などを聴取し、解決できるよう話し合いを行います。
このとき、CMがいると次のサービスへ繋げやすかったり、他サービスに対して要望なども出しやすくなります。
会議は私の知っている範囲では30分を目安に開催されていることが多いです。
私は進行がうまくいかず1時間以上かかってしまうこともあります…。
他にはクリニック併設のデイケアで、「〇月〇日〇時に来てください」と時間を指定し、まるで外来診察のように待合室で本人、家族、CMが並び、順番に診察室に入って医師からの計画書の説明を受ける、という形のリハ会議をされているところもあるようです。
この開催方法では、リハ会議の目的が達成されるとは考えにくいですが…。
1つ前の記事でも書きましたが、リハマネⅢ・Ⅳを算定するためには
医師による計画書の説明
が必須となっています。
しかし、医師はものすごく多忙でなかなか都合がつきません。
自宅でリハ会議を開催する場合に同行することはほとんど不可能だと思います。
現在、リハ会議への医師の参加は「テレビ電話」での参加も可能となっています。
主にzoomを使用して参加されている事業所が多いと思いますが…
医師が高齢でzoomなんて使えない!
と嘆いておられる事業所も多いのではないでしょうか。
私が勤務する施設では、事務職にzoomの接続を依頼しています。
zoomが繋がった状態で、医師にタブレットを渡し、会議に参加していただいています。
私の事業所の医師はもともとゲーマー(?)の70代医師です。
はじめは上記のような方法で会議に参加していただいていましたが、いつの間にかご自身のPCにzoomをインストールされ、今では事務職の力を借りることなく会議に参加されています。
リハビリテーション会議の目的
例えば、通所リハとデイサービスを併用されているとします。
その利用者の目標は「車に乗って家族で出かけること」だとします。
送迎方法がバラバラで、通所リハでは歩いて車の座席に座って送迎、デイサービスでは車いすに座り、リフト車に乗って送迎をしています。
せっかく歩いて車に乗れるのに、デイサービスで車いすのまま乗車しているのはもったいないですよね。
このような場合、リハビリテーションの観点から車いすではなく歩いて車に乗ることの意義を説明し、家族を含めて情報を共有することで、デイサービスの送迎方法を変えていただくことができます。
また、極端な例ですが、左半側空間無視の利用者のケースで、デイサービスでいつも食事を残されるという問題が起きていたとします。
リハ会議で半側空間無視という高次脳機能障害があること、どうすれば食事をしっかり食べられるようになるかを助言することで、デイサービスでも食事を完食できるようになります。
このように、リハビリテーションの観点から家族や他のサービスに対して助言や提案をして、
課題解決型アプローチをすることで自立支援を促すことがリハビリテーション会議の目的です。
問題解決型のケアプランの場合、サービスの目標の修正を依頼する場合もありますし、サービスの内容に関して、自立支援を促進するようにサービスの調整をリハ会議の場で依頼することもあります。
どうしても問題解決型(~ができない。では、サービスを利用してお手伝いしますね)のプランが多い印象です。
リハ会議の場を活用し、課題解決型(~ができない。ではサービスを活用してできるようにしていきましょう)のプランに修正し、自立支援を促すことでサービスの利用を減らし、社会保障費を削減することが介護保険分野で働くリハ専門職に求められていることだと考えています。
最近の改定ではリハビリテーションに対してはプラス改定になっています。
なぜ、社会保障費がどんどん膨らんでいるのにリハ関連に関して加算が増えているのか…。
それはリハビリテーションを充実させることで社会保障費全体は減らせる、と期待されているからだと思います。
この期待にしっかり応えることが、我々の職域を守ることにも繋がると思うので、リハ会議での活動はとても重要です。
まとめ
- リハビリテーション会議はリハビリテーションマネジメントを進めるうえで重要な会議です。
- 会議は通所リハ、訪問リハが主催するため、これまでリハ職が携わることがあまりなかったであろう、司会や会議の進行をする必要があります。
- リハ会議では、関わる事業所で連携し、多職種連携を図り、課題解決型アプローチをすることで自立支援を促すことがリハビリテーション会議の目的です。
- 自立支援を促し、リハビリテーション専門職が支援する意義を示すことが我々の職域を守ることにも繋がると思っています。
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